第164回国会 総務委員会 第28号 平成18年6月9日(衆議)
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009416420060609028.htm○
後藤(斎)委員 大臣、時間が押せ押せで、これで最後の質問にしますが、放送法の部分では、受信機を設置した者について、者についてという言葉で受信料が徴収をされるという規定になっております。これは放送法の三十二条の規定でございます。「者」ということでありますから、今、四月一日からワンセグも普及をし始めています。これはNHKの番組も見られるようになっています。
六月二日の新聞によると、ワンセグは放送開始二カ月で出荷が六十万台、好調であるという記事の中でいろいろ書いてありまして、最後に、二年以内に対応携帯の普及台数を二千万から三千万台にしたいというもの。さらにはカーナビゲーションが、もう最近のカーナビはテレビが見られるようになっております。大体、二〇〇四年の三月で一千四百五十万台のものが、二〇〇五年の十二月には二千百万台までふえておりまして、多分この新しいものはテレビ受信ができる形が多いというふうに思われます。
大臣、放送法には触れられていないんですが、放送法の三十二条の受信契約の規定の仕方、そして先ほどお尋ねをした、会計検査院が指摘した、もし今の受信世帯数のほぼ可能な部分を全体徴収すると一千五百五十億プラスになるというふうな報告もございますが、やはり時代の変化にあわせて、この規定が、読み方が、受信機というふうに、カーナビとかワンセグの部分とか、変わっていくんでしょうか。それとも、ここはもう受信料の徴収の対象にはならないでしょうか。その点について、やはり時代の変化に応じて変えていく必要があるということで大臣はお考えだというふうに私は勝手に推測していますが、最後に総務相の御見解をお伺いしたいと思います。
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竹中国務大臣 今、後藤委員、放送法三十二条を御言及くださいましたが、放送法三十二条「協会の放送を受信することのできる受信設備」、この「受信設備」の中には、当然のことながらテレビのみならず、今御指摘の携帯端末、カーナビ等々も入る、これはもう当然のことだと思います。
これは、総務大臣の認可を受けてNHKが定める受信料体系で具体的なことが定められているわけでございます。これもいろいろな多様化に応じて、その都度、受信料体系が見直されて、総務大臣が認可してきたわけでございますけれども、これについては、NHKの経営計画におきましてもいろいろなことをこれから考えていくということが示されていると思います。
私どもも、そういう意味では、今の仕組みの中で現実に即応した形で対応していくつもりでございます。同時に、NHKの抜本改革に向けて、受信料をどのように義務づけるかどうかも含めていろいろな議論をさせていただきますので、私はそれにあわせてさらに実体的な議論をする一つのチャンスがあるというふうに思っております。
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後藤(斎)委員 指摘だけさせてください。
先ほどもお話しした、今、世帯ということで基本的には管理をされている受信料であります。それがそうでない形にもう一方で移っている。ある意味で、私は、マーケットというか受信料の徴収対象は広がっているという認識の中で制度設計をしていただきたい。
そして、六月六日に民主党でも総務部門会の中で、NHKも含めたいろいろなビジョンを、これからの放送と通信に関するビジョンをまとめました。これは大臣や経営委員長や会長にいずれ近いうちにお届けをして、ぜひごらんになっていただきたいんですが、やはり経営委員長が、先ほども御指摘をしたように、やはり自己改革の努力というものを、今大臣がお話しされた時代の流れになって、よそから三チャンネル減らせとか何とか言われるのではなくて、やはりNHKとしてこういうふうにしたいと。当然その前には今の不祥事というものをきれいさっぱり、もうこれ以上出ないという形まで徹底して、摘発まではいきませんが調査をして、報告を国民の皆さんにしていただきたいというふうに私は思うんですが、その点は、そういう中でのこれからのNHKのあり方ということをぜひお考えになっていただきたいということを御指摘させていただいて、質問を終わります。
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中谷委員長 次に、渡辺周君。
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渡辺(周)委員 それでは、引き続き質問をさせていただきます。
私のNHKに対する思いというか、感想をちょっと述べてから質問に入りたいと思います。
私、小学校六年の野球をやっている息子がおりまして、この息子は、土曜日の六時、「メジャー」というアニメをやっているんですが、この番組が始まるとてこでも動きませんで、とにかくかじりついて見ております。昔、私ども子供のときには、NHKというのは子供が見る番組がほとんどなかった。ばあちゃんが相撲を見ていると、相撲なんかつまらないから変えてくれと言ったり、テレビ一台をばあちゃんととり合ったとか、そういうのがどの家庭にもあったんじゃないかなというふうに思います。そういう意味では、随分NHKもやわらかくなって、さまざまな年代層に受け入れられるような番組を、長い間努力して、工夫してきた。この数年の韓流ドラマもそうですけれども、そんな思いがいたしております。
ただ、一つ、これはまたちょっと余談かもしれませんが、我々が高校生ぐらいのときに、山口百恵が「プレイバックpart2」という歌を歌うときに、NHKは真っ赤なポルシェというのを真っ赤な車と言って、ポルシェという言葉を使わせなかった。商品名だからNHKでは流せないんだという話があった。天下の国民的アイドルに歌詞まで変えさせたということで、やはりNHKというのはすごい権力を持っているんだなと。そのころはだれもが、今でもそうかもしれません、国営放送だと思って、国の権力によって国民的アイドルの歌詞まで変えさせてしまった。そういうのが実は思いの中に、トラウマと言ったらおかしい言い方ですけれども、やはりそれぐらいお役所的なところ、公権力を行使できるところというようなイメージを持っておったんです。
もちろん国営放送というような認識は当時の話ですが、今でも世の中の人たちの中には、NHKというのは何だと聞くと、多分国営放送というふうに答える方が随分いるんじゃないかなというふうに、勘違いといいましょうか、そういう認識を持たれている方が多いんだろうと思います。
そのNHKが、いろいろな形で番組の放送内容、今申し上げたように、かつてはNHKがアニメを流すということはまずちょっと考えられなかった。そしてお笑い番組だとか娯楽番組、バラエティーなんかも、正直言って民放に比べると刺激は少ないんですが、ある年代になってくると安心して見ていられる。そういう意味では、大分NHKも多様性というか汎用性が広がっているんだろうというふうに思っておりますけれども、この番組の内容について、最初にまずちょっとお尋ねをしたいと思うんです。
NHKには放送番組審議会というのがございまして、この放送番組審議会というものが、ここにも資料があるんですけれども、中央と地方にある。たまたま中央放送番組審議会というところの議事録なんかを見ますと、ある番組を一つ挙げて、これはホームページから引っ張り出したものですが、四月十八日放送の「クイズ 日本の顔」、私見たことがなくて申しわけないんですが、こういう番組を一つ題材にして、出席委員の方々がいろいろ批評をするというふうにあるわけですね。
地方でも恐らくこういうことが行われているんだろうと思いますけれども、こういう番組の中身についていいか悪いか言うのは主観の問題だと思いまして、以前もどこかでお話ししたことがあると思いますが、この番組はある年代によって変わるんですね。例えば音楽番組でも、いや、懐かしくて、あのころを思い出していい曲だというのもあれば、言っちゃ悪いですけれども、若い者には退屈なこんな番組をなぜやると、これは、見る側にしてみると、それぞれが主観を持っていますから、当然言う。
そういう中で、果たして番組のよしあしについて、審議会の中で、ある程度番組の正当な批評、批判というか、評価ができているのかどうか。もっと言えば、これは法に基づいて審議会をつくっていますけれども、どういう人選をして、どういう理由でこういう人たちを選んでいるのか。実際そういう意見が大方の視聴者の意見を代弁しているというふうにお考えなのかどうか。その点についてちょっとお尋ねをしたいと思います。
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原田参考人 お答えいたします。
今御質問にありましたように、NHKの場合は、中央放送番組審議会、それから全国各地域に地方放送番組審議会というものが八つございます。それから国際放送についても番組審議会を持っております。
委員の人選に当たりましては、これは放送法がもとになっておりますので、私どもそれに基づいて内規を定めておりまして、いわゆる放送番組の適正を図るにふさわしい豊かな学識経験を有する方ということを基本にしておりますけれども、できるだけ幅広い皆さんの御意見を反映させることは必要でございますので、例えば、学術の分野の方、あるいは経済、産業の分野の方、あるいは芸術の分野の方、地方放送番組審議会にはマスコミ、新聞社の方も入っていらっしゃいます。それから、男女の別あるいは年代というところもできるだけ工夫をして、バランスのとれた形にしております。
審議会は毎月審議をいただいております。今委員が御指摘になったのは四月の分でございますけれども、ちょうど新番組がスタートしたところでございましたので、私どもといたしましても、新しい番組につきまして委員の皆さんの御批評をいただきたいということで、審議会の皆さんにごらんをいただきました。毎月そういう見ていただく番組もつくりますけれども、あと、その月の一般の番組につきまして、大変真摯にそれぞれのお立場で御意見をいただいております。
それから、その場には私ども放送現場の責任者がすべて出ておりまして、その場でいろいろな意見をいただきますので、直ちに現場にフィードバックするという形で役立てております。
それから、こういう場でさまざまな意見をいただく中で、例えば、社会の現状を的確にとらえて日本の新しい展望につながっていくような番組をつくるべきだというふうな御意見をいただきますけれども、そういう御意見をいただく中で、「NHKスペシャル」の討論番組といいますか、「日本の、これから」という番組が去年スタートいたしましたけれども、ああいうのもやはりそういう御意見をいただく中で生まれてきたものでございます。それから、地域放送の充実ということもいろいろな御意見いただいていますが、そういう御意見をいただく中で、今年度は地域の課題にそれぞれきっちり向き合うという形で番組を編成していくということも、皆さんのそういう御意見の中から出てきたものでございます。
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渡辺(周)委員 これはどういう方を選んでいるのかというと、その場その場の専門家で、確かに顔ぶれを見ると、学者の方もいれば経営者の方もいますし、組合の出身の方、労働組合の方もいれば音楽家もいる。いろいろな方がいて、いろいろな御意見が多角的に出ているんだと思いますが、私はやはり、年代層のばらつきと言ったらあれですけれども、幅も持たせた方がいいと思うんですよ。その点はまずどうなっているのかということですね。例えば、二十代の意見から、子供を持つ親の代表とか、やはり六十代、七十代の方もいてもいい。私は、職種で選ぶというよりも、年代層もあまねく入れた方がいいんじゃないかな、その方がより効果的な結論が出るんじゃないかというふうに、それを一つ確認したいと思います。
また、個々の番組がどうこうというよりも、やはり主観で皆さん方おっしゃると思うんですよ。もっと言えば、このタレントは嫌いだからこんなのを使うななんていう声もあると思うし、民放に比べれば刺激が少なくておもしろくない、アナウンサーがまじめなことを言っていて笑うところが少ないじゃないかとか、それはもう、みんないろいろ意見があると思いますが、実際、ではこういう番組をつくったらどうだ、つまり、あるものを題材にして、新番組はいかがでしょうか、うちの新メニューはいかがですかと試食してもらって、何かいろいろ言われてどうこうするというよりも、例えば今度こういうメニューを出すべきだとか、逆に言うと提案をしてもらうような、そういうところまで踏み込んでやっていらっしゃるんですよね。そこをちょっと確認して、次の質問に移りますので、簡潔にお願いします。
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原田参考人 年代につきましては、できるだけ私どもも幅広くしたいというふうに思っておりまして、例えば三十代の方なんかも、まだ二十代というところまでいっておりませんけれども、そういう委員の方をできるだけ各地域でも入れてまいりたいということは努力しているところでございます。
それから、具体的には、先ほども「日本の、これから」の話をいたしましたけれども、今、総合テレビでは、昼のニュースの後、各地域から生中継の番組をやっておりますけれども、あの放送につきましても、これは地域の番組審議会なんかで、せっかく地域でさまざまな放送をする、中継なんかもするんですけれども、全国放送でぜひ出してほしいというふうな声を受ける中でああいうものがスタートしております。
ですから、個別の、例えばアナウンサーの言葉遣いとか、さまざまなレベルの御意見もいただきますけれども、具体的には、今のような形、それから大きな編成の基本計画、これは諮問、答申を中央放送番組審議会にお願いいたしますので、一番大事なところでの基本の考え方の御意見もしっかりいただいております。
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渡辺(周)委員 なぜこういう話を最初に伺ったかといいますと、五月七日に開催されたデジタル時代のNHK懇談会メンバーと現場の対話というものの議事録を読ませていただきました。NHKから参加者の方が四十名以上出られて、さまざまな懇談会メンバーの方とお話をされていく中で、大変示唆に富む話がありました。
例えば、NHKの「公共放送を支える制度とは何か」という中にあるのは、ちょっとはしょって言いますけれども、お金を集めてくる現場もそうだし、放送の中身もそうです、社会の動きというものに対して我々NHKは敏感なんですよというところを何らかの形で表現した方がいいのではないか、これは吉岡忍さんというノンフィクション作家の方が言われています。
それから、これを受けて、しばらくの質疑の後に司会の方が、営業経費の話の後に、つまり、受信料のシステムを維持するということがすばらしいと思っている、ただ、それは営業現場だけがやることではなくて、当然放送でやることが大切なんだということを言われているんです。
その前に、ちょっと前後しましたけれども、営業の方がおっしゃっている中で、営業の方がいわゆる契約を結んでもらえない、どういう声があるかといったら、二つある、お客様を訪問して言われることは大きく分けて二つだ、一つは、みんなが払ったら自分も払うという意見がある、もう一つは、見るものがないから払わない、大体この二つに大別されるというふうに営業の方がおっしゃっている。
このみんなが払ったら自分も払うという人に対しては、これはやはり制度的に公平性を維持できるような仕組みを導入しなきゃいけないんだと。しかし、見るものがないから払わないと言っている人間、この議事録の中にありますけれども、一週間に五分NHKを見ていない人というのが実は十人に四人いる、接触者率が六三%から六四%。接触者率というのは恐らくNHKを五分以上見た人のことだと思うんです。要は、ここでいろいろありますけれども、この見ていない人をどうするか、つまり見ていないから払わないという人たちに対してどうするかという議論もあるわけなんです。
私は、先ほど来議論されていますからもう言いませんけれども、前回私も申し上げましたが、受信料の制度をどうするかという議論はこれから当然する。そして、そのための仕組みが、先ほど電力会社や何かとタイアップしてやったらどうかとか、いろいろあります。これはなかなか法制度が難しいところもあるのかもしれません。これももちろん一考すべきところでありますが、やはり見ていて対価として払ってもいいと思うようなところも努力しないと、何となく番組をつくるにはつくって、この番組どうでしょうかといって、内輪の人間だけが集まって、いや、あそこがいい、ここがいい、ああでもないこうでもないといって、何か、やったことだけで終わってしまうことがないようにしないと、結果的には、私は、この吉岡忍さんが指摘されているようなことやあるいはNHKの視聴者総局の方がおっしゃっていたことは解消されないというふうに思うんです。
この点について、会長いかがですか。これは当然目を通していらっしゃると思いますけれども、こういう声に対して、一言で結構です。
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橋本参考人 私、大変現場寄りのいい声が盛り込まれていると思います。
やはり非常に切実なところで、我が社としては、視聴率ではなくて、いわゆる接触率、これをどう高めるかということはいろいろ工夫しているところでありまして、先ほど実例として扱っていただきましたアニメとかそういうものを含めて、時代が変わっている新しい若い人の層、そういうところを目指していかにしてキャッチアップするかということについては、またこれまで以上努力してまいらないといけないというふうに考えております。
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渡辺(周)委員 番組の内容については、私どもも素人ですから、自分が見た番組で気に入ったものがあればNHKいいじゃないかと言うし、つまらないものを見たら何だつまらないなと言うし、これははっきり言って、視聴者というのはみんなそれぞれの、受ける人間が違いますから、難しいとは思いますけれども、ただ、やはりこういう仕組みがあるのならば幅広く聞いていただいて、御用審議会にならないように、そこだけはぜひ今後改革をする上で念頭に置いていただきたいと思います。
時間がありませんので、大きな問題をあと二点お尋ねします。
これは、いろいろ議論された国際放送の点なんですが、国際放送がラジオで二十カ国語で放送されている。このラジオの二十カ国で、実は資料をいただいたら、日本語、英語も含めてなんですけれども、当然フランス語や中国語というものは別にすれば、びっくりするのは、スワヒリ語だとかベンガル語、ウルドゥー語、ヒンディー語、大体一時間これが放送されている。
実際これにかかるラジオ放送のコスト、二十億円ですね。これは交付金を受け取って、しかし、それ以上に人件費やら中継地点の維持費やら、聞くところによると、アフリカのどこか、なかなか行くのも大変なところにも建っているとか話を聞くんですが、こういうことを考えていくと、この維持費にしたままこれは果たして続けていくのがいいのか、どれぐらいの人が果たして聞いているのか。
これは確かに、アフリカの方に行ったら、テレビは持っていないけれどもラジオはあるとか、そういうところもあるから決して無駄ではないという議論もあるのはよく承知ですが、NHKの中で、例えばこの言葉で放送しているラジオというのはほとんど聞いていないのではないだろうか。だったら別のことに切りかえたらどうだ。インターネットが普及している国もあればしていない国もありますけれども、例えばそういう見直しということについて何か検討されているのかどうか。その点はどうなっていますか。
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石村参考人 お答えいたします。
今先生御指摘のように、今二十二の言語でやっております。大体一日に延べ六十五時間放送しております。
今、お金のかかる、費用ですけれども、ラジオの放送の総額というのは十六年度の決算のもので八十五億ぐらいです。うち二十二億ぐらいを国の交付金でいただいているということです。
それで、どれぐらいの人が聞いているのかというのは、これはなかなか難しいんですけれども、推定聴衆者数ということで民間の会社に依頼してちょっと調べていただいているのがあるんですが、この数字だと、平成十五年度の調査で約千二百万人ということです。
ではこれからどうしていくのかという話なんですが、先ほども御指摘あったように、インターネットの普及等で、例えばアメリカとかヨーロッパというのはインターネットで代替できるとは思うんですが、ラジオしか聞けない、そういう設備が普及していないところというのも、全世界を目標に放送していくということになればそういう問題は残るということで、我々としては、できるだけラジオからテレビへというのを一つ大きな方針に三カ年計画で掲げていますし、なおかつラジオについては、インターネット等が十分発達しているところには少しずつ縮小していって、これからですけれども、言語数も少なくしながら、伝わりにくいところを中心に伝えるのを当面の、三カ年の方針としてやっていこうということで、今詰めを急いでいるところでございます。
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渡辺(周)委員 これは決して、少数言語だから、あるいは日本になじみのない国だから、もうカットしていいんじゃないかという言い方ではなくて、代替できるところは代替すればよろしいし、残すべきところは残して、今おっしゃったように先進国で、もうその点については、これはなかなか統計をとるのが難しいと思うんですけれども、そこのところはぜひ検討を進めていただきたいというふうに思います。
もう時間が五分を切りましたので、最後、十六年度決算の点について御質問をします。
本当に残念なこういう事件が起きました。実はこの体質というのが全然改善されていない。我々もいろいろと、党にも来ていただいて説明を受けました。調べれば調べるほど、あちこちちょこちょこと出てきて、びっくりしたのは、例えば出張して、半券がなくても出張の旅費が出ていたとか、普通考えられないです。我々でも視察で行くと、飛行機の半券、搭乗券の半券を持ってこいと、どこかごみ箱に行っちゃうと困るからと、飛行機に乗った途端にすぐ回収されます。それは当然当たり前なんですけれども、そうやって経費はどうなっているかということをやるわけなんです。
ところが、NHKの場合は、実は、この半券を出張書類に添付するのがことしの六月一日からです、七月一日だったですか、という話があります。いや、そんなことが、当たり前のことが実は行われていなかった。
みんなだれしも、これは全くないとは言いません。会社の経費で、どこかに飲みに行ったけれども人と会ったことにしていいやといって、民間の会社なんかで、営業マンなんか、飲み屋へ行くと、みんないつも領収書をちょうだいと言って、会社に経費を請求している人もいるでしょうし、こういうのは、はっきり言って、民間の企業がある中でやっている分には、民間の利益の中でやる分には、私は、内部の話として構わないんですが、やはり我々税金を受け取っている者であるとか、あるいはNHK、受信料で賄われている者については、それは徹底して、だからより以上にやらなきゃいけない。
世の中のよくあるルールというか幅みたいなものが実は非常に厳しく制約されているというのは、我々政治家もお役所の方もNHKの方も、みんなそうなんですね。だから、こういうものがいまだに残っていたということは極めて驚きなんです。こういういいかげんな経理を許していた。
もう一つ言っちゃうと、マスコミというのは結構ずさんで、忙しいからといっていると、いろいろなこと、経費の精算とかみんなわけがわからなくなっちゃって、まあいいやで通っているところも正直ないわけじゃないと思うんです。私もマスコミに若干籍を置いていましたからわかるんです。自分の金だったか会社の金だったかよくわからないようなときも実際ないわけじゃない。
だけれども、そうは言いながら、NHKの場合はちょっと独特だというふうに考えると、なぜこういう体質が残ったのか、そしてこれをどうするかということを、本当に決意を聞きたいと思います。さっきから聞いていると、他人事みたいなことで、いや、もうやりますと言わなきゃだめですよ、改善すると言わなきゃいけないのに、重く受けとめてこれから検討するみたいな話ですから、そんな余裕はない、猶予はない、ということについての決意をひとつ伺いたいということ。
それからもう一つは、前も申し上げましたが、子会社の決算。子会社が統合すると、これはいろいろ言われています、我々も言いました。ところが、統合したけれども、人員は減っていない。本体は減っているけれども、むしろ子会社はふえているということは前回のこの場でも指摘をさせていただきました。だからこそ、公開を、はっきりしていかなきゃいけないんですね。
先般、ちょうど行革特をやっているときに、NHKの調査報道で、環境省の随意契約が九十何%だとNHKがスクープをしました。びっくりしました。NHKが役所の随意契約について調査報道をするんだなと。新聞社や野党がいろいろやるのはよくあることでありますけれども、NHKが環境省の随意契約について調査報道で出した。いよいよNHKがこういう問題についても調査報道するんだな、やはりジャーナリズム精神があるんだなと。
もう一つ、ということは、自分たちの随意契約であるとか自分たちの体質について、ある意味では、もう一回やり直すということを、やはりひとつ仕切り直しをするという意味で、報道の現場の方があえて意思を示すために、これは何でかというと、他人の不正を正すときには自分たちがちゃんとしていないと、今度は返り討ちに遭いますから。これは楢崎弥之助さんがかつて言っていたそうでありまして、他人のスキャンダルを追及するときには自分は身ぎれいにしておけというようなことが何かあったそうでございます。
これは、まさにジャーナリズム、報道の機関としては当然のことなんですが、そういう体質に切りかえるという決意なのかなというふうに私は善意に解釈しますが、最後に、この決意、そしてもう一つは、情報公開をもっと徹底してやらなきゃいかぬ。もうくどくど申しませんが、その点について、最後に会長の御決意を聞いて終わりにします。
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橋本参考人 情報公開も含め、NHK一体となって、関連会社の随意契約、こういうものもございます、これは情報公開ということで透明性を高めなきゃいけないというふうに思いますし、その方向で十八年度も積極的に取り組んでおります。
ちなみに、航空券の半券については、四月十七日からやっております。十五日に発表しましたが、その後すぐやりました。
それから、就任以来、やはり私の役目というのは、いかにして体質改善をしていくのか、改革をしていくのかということでございます。まだまだその過程にあるわけでありますけれども、NHK自体が本当にさかのぼってうみを出してしっかりときれいになる、そういうものが結果的に番組の中身にも反映するのかもしれません。そういう形で、これから着実に、誠実に改革、改善に向けて努力していくことをお誓い申し上げます。
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渡辺(周)委員 ぜひ改善すると言い切っていただきたかったんですが、御期待を申し上げまして、質問を終わります。
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